ソウルと首都圏の中産階級の主婦の間では、舅や姑のお使いをする「お年寄りの話し相手コンパニオン(シルバーシッター)」の利用が人気を集めている。
両親は首都圏の新都市で暮らしているが、息子夫婦は子供の教育のために江南地域に住んでいる場合や、同居している場合でも共稼ぎであることが多いため、昼の時間帯にお年寄りだけになってしまう家庭で主に利用されている。
江南一帯には「ハイバーディー」、「コールシッター」など20あまりの業者がある。 1月15日付朝鮮日報の記事を引用すると、
主婦のチョン(49)さんは昨年12月から「話し友達コンパニオン」のユン(女性/38)さんを、毎日イルサン新都市にある夫の実家に送迎している。ユンさんは午前9時から午後6時までチョンさんの舅(81)と姑(78)のお使いや散歩の相手をする。チョンさんは「高校1年の息子の受験勉強の世話をするために、夫の実家に長くいられないのでアルバイトを雇うことにした」とし、「最初は腹を立てていた舅も、今は現実を受け入れてくれている」と話した。
京畿道・南楊州市のアパートに住んでいる李(76)さんも、1カ月に2回「話し友達コンパニオン」のシム(47)さんがやって来る日を楽しみにしている。昨年3月に夫が亡くなった後、娘の家に移った李さんは、15日に1度やって来るシムさんと一緒に病院や銭湯に行ったり、聖書を朗読することが何よりも楽しみだという。李さんは「1人でいると先に死んだ夫のことを思い出して泣いてばかりいるが、アルバイトが来る日は1日があっという間に過ぎてしまう」と話す。
共稼ぎの息子夫婦と同居しているアン(72)さんは昨年11月から将棋友達ができた。1カ月に3〜4回来る「話し友達コンパニオン」のヤン(27)さんと午前11時から午後4時まで将棋をさす。昨年12月19日には一緒に近くの映画館で映画『ハリー・ポッター』も観たという。アンさんは「自分の子供と行くことができないのは寂しいが、公園で1人でいるよりはずっとまし」と話す。
シルバーシッター業は、ほとんどの会社が固定顧客が20〜30人程度と、まだ微々たるものだが、老齢化社会に入った今、利用客はどんどん増えると業界関係者は予想している。コンパニオンは大部分、アルバイトの大学生や主婦で、ベビーシッターも兼ねている。費用は1時間当たり5000ウォン前後で、1週間に1度程度利用するケースが最も多い。チョン(女性/36/幼稚園長)さんは「1カ月に3〜4回呼ぶと20万ウォン程度になるが、それ程高いとは思わない」と話した。
ソウル大学・社会福祉学科の崔聖載教授は、「今の社会は、子供が同居して老いた両親の面倒を見るような大家族制度はほとんどなくなっているにもかかわらず、お年寄りが独立生活をする基盤が絶対的に不足している」と指摘し、「シルバーシッターはこのような問題を象徴的に現している現象」だと説明した。
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