韓国での生活も今年で7年が過ぎた。他の外国人駐在員に比べると滞在期間はかなり長い。そのためか、韓国人より韓国についてよく知っているという称賛の言葉も時々聞く。しかし韓国についてまだ理解できないことがいくつかある。その一つが韓国人の結婚式文化だ。
最初に言いたいのは結婚式場にお祝いに来た客についてだ。式場に来た多数の客が結婚式に参加しないということである。数週間前、教会で開かれた結婚式に出席した。結婚式が始まる15分前に式場に到着したが、式場内には人があまりいなかった。一緒に行った友人の案内で地下にある披露宴会場に行くと、大勢の客が挙式が始まる前に食事をしていた。さらに結婚式が始まっても式場には入らず、式場よりも披露宴会場にいる客の方がはるかに多かった。
結婚式の主人公は当然、新郎と新婦であるべきだ。しかし親の便宜と立場で進行される結婚式をたびたび見る。ある韓国人の友人は2年前、私に「1年以内に結婚しなければならない」と話したことがあった。その当時、その友人は付き合っている女性もいなかった。理由を尋ねると、「父親が現在会社で影響力のある職位にいるが、1年後には退職するので、その前に自分が結婚しなければならない。そうしてこそ父がこれまで他人に投資(?)してきた祝儀金を回収することができる。自分は最近、結婚に対する無言の圧力に苦しんでいる」と語った。その友人はその後1年以内に結婚し、大勢の人々が結婚式に出席してくれたという話を聞いた。
フランスでは結婚するとき、韓国のように大勢の人を招待しない。親しい友人と親戚だけを招待する。そして結婚式には、招待を受けたすべての人が出席し、式を最後まで見届ける。結婚式が終わればパーティーを開くが、新郎・新婦と友人、親の友人、親せきが、歌を歌ったり踊ったりしながら楽しい時間を送る。また韓国人のようにお金でお祝いの気持ちを伝えるのではなく、新郎・新婦が今後の生活に必要な物をプレゼントするのが普通だ。
韓国人がお金を贈るのは、昔生活に余裕がなかった時代、お互い助け合って大きな行事を一緒に行ったためだという話を聞いた。いまやほとんどの韓国人は、周囲の助けを借りて結婚するほど貧しくない。また結婚式は生涯最も祝福を受けるべきイベントでもある。結婚式に出席する外国人としては、こうした特別な結婚式の意味が形式的な「日常の行事」に変わってしまったようで残念に思う。
ミッシェル・カンフェアニュ(アリアンツ生命社長)
2002.10.10
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